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Story04 「スウェーデンの養子事情」
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スウェーデンというとブロンドにブルーアイズというイメージが強いですが、実際にこちらに来てみると、黒髪やブラウンヘアーの人々も少なくないことに気づきます。まあ、程度問題として、他の国々よりもブロンドの人の割合が大きい、といったことはあるかと思いますが。さらに、近年、スウェーデンでは移民を数多く受け入れるようになっており、その多くを占める中東やアフリカの人々はもちろん黒髪ですし、養子としてスウェーデンで育った人々ももちろん、いわゆる“典型的スウェーデン人”とは外見は異なります。
スウェーデンというと日本と同じように同質な人々が集まっている社会というイメージが強かったのですが、やはり日本よりははるかに外に開かれた社会であるという印象を受けます。前述の移民についてはいうまでもありませんが、他国から養子をとるという発想は、そもそも日本には存在しないものです。1960年代あたりから、たとえば韓国やパキスタンといったいわゆる発展途上国から養子をとる家庭が増えてきたそうです。したがって、アジア人やアフリカ人に対して「あっ、外人だ」、というような反応をすることは考えられず、外見でスウェーデン人かどうかを判断することは、まずないといっていいでしょう。
他の人種、民族への寛容な態度は、一般家庭にもかなり浸透してきています。たとえば、友人のマイケル(仮名)の家庭がよい参考になるかもしれません。彼の両親は共にスウェーデン人ですが、マイケルが生まれる前に、パキスタンから2人の女の子、アナとソフィーを養子にとりました。したがって、マイケルには、パキスタン人の姉が二人いるということになります。マイケル自身は日本人女性とつきあっており、妹はそれぞれスウェーデン人と結婚しています。またマイケルの両親はマイケルが3歳のときに離婚していますが、母親とその再婚相手(フランス人)との間に生まれたデビッドは、マイケルの弟となります。ちなみにデビッドはいまチリ人の女性とつきあっています。日本的に考えると、マイケルと完全に血のつながった兄弟は存在しないということになります。しかし、マイケルにいわせると、養子としてとられたアナ、ソフィー、そして母親を同じくするデビッドとの間には、血のつながりがあるないによる違いはまったくないとのことです。
このような家庭がスウェーデンでは数多く見られ、ブロンド、ブルーアイズの人々のみで構成されている家族の数は次第に減ってきているようです。これには、もちろん他の人種、民族への寛容な態度が伝統的にスウェーデンに存在したということも背景にありますが、ちょっと穿った見方をしますと、離婚が一般的になっているために、義理の家族の割合が多くなり、もはや“血のつながり”にこだわっていられる状況ではなくなったのかもしれません。いってみれば「家庭の崩壊」が、結果的にリベラルな態度を生み出したと考えられないこともないでしょう。
ところで、このように書き進めていくと、スウェーデンには人種差別はまったくないと思われるかもしれませんが、これも、「ブロンド・ブルーアイズ」と同じく、程度問題でしょう。他の国に比べて、おそらく人種差別自体は少ないでしょうが、まったく存在しないということはない。たとえば、9月に行われた選挙でも、“人種差別反対”と書かれたポスターがあちこちに貼られていましたが、“人種差別”がなければあのようなポスターを貼る必要はなかったわけです。特に中東の人々 (こうした“中東”と人くくりにすること自体が差別的だと考える人もいますが) への偏見は、少なからずあるようです。
(2002/11/02)
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